長い睫の夜。
 
 
 
■ 恐山界隈の石仏にはあまりいいものがない。
 ということを、ある人が書いていた。
 ま、それはそうだろうかとも思う。
 全てをみて廻ったわけではないのでなんともいえないが、造りがやや素朴な感じもしないでもない。また、いわゆる「オシラサマ」の流れに沿うものが多くある。
 
 
 
■ 戦後混乱期に太宰や坂口安吾を撮った写真家の林さんが、晩年近く石仏を撮られていたような記憶がある。
 太宰の写真といえば、例の銀座ルパンで脚を組んでいる奴である。
 あの近くには焼き鳥屋があって、店構えの古い方には時々いく。東京ではいくつか分家というかなんというかがあるのだが、店によって味は違っていた。