津軽新じょんから節。
 
 
 
■ いつだったか、天現寺から首都高に乗った。
 ここからの眺めも随分変わったけれども、C1に合流する時の怖さは変わらない。
 流れてくる車がほとんど見えないのである。流れは80や90.
 すれすれで個人タクシーが避けていく。
 いつなにかあってもおかしくないな、と掌は汗ばむ。
 
 
 
■「ジミー・ペイジのギターはまだ静かだ」
 という「夜の魚 一部」の一節がある。
「天国への階段」のことを指している。
 ここ20年近く、ジャケットを着る頃必ず車の中で聴くのだけれども、高橋竹山さんの「新じょんから節」は、右手に折れて夜の港が一望できる辺りで、ちょうどよく踊っていた。
 ドラムが入れば、70年代初めのロックである。電気を全部入れて増幅させれば、マイルスがブゥドゥーのリズムを取り入れたあのアルバムにも似ている。
 どこがと言われれば、匂いがである。便利な言葉ではあるけれども。
 ギアをひとつ落とし、ゆるやかで長い登りを加速する。