北へ帰る豚の群れは誰も無口で 2.
■ 青森県の県史などを読んでいると、例えば太宰の立ち位置が分かったような気になる。
彼はある種、モダニズムの男なのである。
40になる手前、入水したのであるが、相手が華族でないところが良かった。
その前の人生で何度も予行練習をしたような形跡があるけれども、それはまたそれ。
朔太郎の横顔にも似た、髪をかきあげる仕草が格好いい。
■ 情死というのは一体に美化される。
太宰と対で語られるべき三島の最後は、検視され、情交の跡があったと報じられた。