冬木立 4.
 
 
 
■ 例えば友禅というのは、半島からきた方々が水に関しての作業をされていた。
 雑誌「太陽」に写真とともに紹介されている。
 川の中に入って何度も晒す作業は、想像するだに辛い仕事で、都、もしくは文化というのはそうした階層性を内包している。
 
 
 
■ 作るもの食べるもの。
 というものの中にも、不思議な階層性というのはあるような気がする。食べ物について書かれた本で上品なものは少ないが、吉田健一さんのそれは数少ない例外であった。
 配偶者の卒業証書を額縁に飾っている居酒屋で、料理そのものが旨かったことはまずない。