バカラ。
 
 
 
■ 緑坂の古くからの読者諸兄には「バカラ」という固有名詞が何度か出てくるのに気づかれているだろう。
 例えば12月の真っ暗な真夜中に、ハロゲンの灯りの下で眺めるグラスは綺麗である。
 持つと重く、それでいて繊細で、実を言えば実用品の範疇には入らない。
 
 
 
■ その書体がまた、いかにもロマンチックなのだが、結構あざといところもあって、先日出てきたそれは赤字の浮き彫りだった。
 いわゆるフォントの力である。
 どうしてこういう話になるかというと、サンクにはバカラという革シートのバンプラみたいな車種があったのである。