モモヒキについて。
 
 
 
■ 加賀まりこさんの「純情ババァになりました」(講談社文庫)を何時だったかさらりと読んだ。部分的にしゃらくさいことも書かれているのだが、私はこの方のファンである。
 吉行さんとの絡みについては、ご本人も吉行さんも何度か書かれていた。
「ハゲとモモヒキを履いた男はキライ」
 と言ったとか言わないとか。ま、言ったんであるが、靴下ごと股引を脱いで、靴下がぶらぶらしているところに味わいがあると吉行さんは答えている。
 
 
 
■ 映画の本を眺めていると、加賀さんの父上の話がたまに出てくる。
 当時の活動屋で知らない人がいれば半分はモグリで、いわゆるモダン・ボーイの典型のような方だったと思われる。
 モボとかモガというと、やや浮ついた印象もあるのだが、なにあの小津監督なども、結構毛だらけの流れなので、あまり神格化しない方が宜しいか。
 モボが中国戦線に従軍させられるとどうなるか、という、少しばかり厄介な問題もその先にはあるのだが。