葉子とすれちがう_8.
■ 結局、葉子というのはいいところのお嬢さんである。
結構な不良娘なのだが、終いに納まるところに収まってしまう。
それは結婚とか家庭とかそういった類のものに限らない。
時々、地味な格好をしているのだが、若い頃は相当綺麗だったのだろうなと思えるような女性をみかけ、ちらりと眺めていると持っている鞄や靴などの質がいい。手入れがなされている。
そして、ここが面白いところだが、笑ってもがっかりさせない。
黙っているととても美人なのだが、物を食べたり笑ったり、あるいは横断歩道を歩いたりしていると、どこかぎくしゃくして視えることがままあるが、少しそれは困ると。
■ 時々、モデルのような格好をして歩いている妙齢がいる。
携帯のメールを見ながら通りを渡る。
白と黒のワンピースが高そうで、私は後を続いたのだが(そっちに用事があったのです)、勿論彼女は本職ではない。
地下鉄の便がよくなって、こちらに流れてきたのである。