振り子 2.
 
 
 
■ 言葉は省くものである。
 と書いたのは、山本夏彦さんだった。
 実際、省いていたかどうかは別として、系譜に詩人がいたからだと識ったのは暫く経ってからだった。息子は父のことを語りたくない。できれば祖父のことも省きたいもので、それを得々と話す奴がいると、いい系図買ったものだなと野次が飛ぶ。