風景と男と 5.
 
 
 
■ 一気に格調が下がるのが緑坂である。
 500Eに話を戻すと、この車は維持するだけで小型車一台が買えると言われている。
 年50程度。
 大体ロールスかベントレーの少し前と同じだ。
 年間5000ばかり走ったとしてである。
 
 
 
■ 男の世界には無駄があって、酒や煙草や賭け事や、例えば新刊を買ったり買わなかったり。今時新刊一冊を買えば、とんかつ定食の並みか場所によっては上が喰える。
 喰えるのになあ、と思いながら牛丼屋のカウンターで文庫を読んでいる男というのはそう悪いものじゃない。