ジェイク。
 
 
 
■ ニコルソンの「チャイナタウン」を惜しみ惜しみ見ている。
 これで何度目になるのか。
 前は確か港区の東京タワーが見える床張りの部屋で、漠然と眺めた。
 14か21インチのブラウン管を床に置いていたような記憶がある。
 ゲーム機はまだ繋がっていない。
 作りつけの棚には酒の瓶が並んでいて、金もないのにバカラのグラスに安ウィスキーを垂らしていた。
 
 
 
■ 私はこの頃のニコルソンが好きだった。
「愛の狩人」という映画があったが、その時の目つきは、例えばこの作品や後の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」あたりまで健在で、ニコルソンは一部の妙齢から不思議にセクシーだと評されていた。
 確かにそれはそう。蜥蜴のような眼で下着の中まで値踏みする。
 そのくせ何処か夢見がちなのである。