花曇。
■ 空が曇っていると、花の色はそこに透けてしまう。
薄い桃色と灰の区別をつけねばならない、ということもないので、そのまま見上げる。
こうした風土の条件というのは、自分にはどうにもならないもので、またどうにかしなくてもいいんじゃないかというような気になって長い。
■「ワイルダーならどうする?」という映画の本を眺めていた。
キャメロン・クロウという映画監督が、91歳のビリー・ワイルダーに長いインタビューをしたものである(キネマ旬報社刊:宮本高晴訳:2001年)。
装丁は和田誠さん。ワイルダーといえばこの方しかいない。
50年代のハリウッド全盛期、モンローやゲーブル、ジャック・レモンなどのエピソードが語られていた。
「アパートの鍵貸します」「麗しのサブリナ」「七年目の浮気」に「昼下がりの情事」と並べていくと、なんといったらいいのか、ちょっと胸が一杯になる。
■ 壊れかけたソファの上でそれを捲っていると、不思議なことに次第に機嫌が悪くなる。
廻りに当たったりして、大人気ないのは何時ものことだが、それが何処からきているのかが不思議だった。