赤線地帯のシマオ。
 
 
 
■ 吉行さんの本をやおら読み返している。
「街角の煙草屋までの旅」という雑文集があって、これは何時買ったものか。相当若い時であるが、そのころ理解していたのか疑わしい。
 
 
 
■ 疑わしいが、線が引いてある。
 鉛筆で細く、というところがなんだか感じがある。
 自分で自分に感心していても仕方ないので次に進むが、島尾敏夫氏と赤線にいった時の話があった。
 
 
 
■「ちょっとそこのおめがねさーん、寄ってらっしゃいナアア」
「一まわりして、またくるヨーウ」
「あんたさっきからぐるぐるまわってるじゃないのサアー、いいかげんにしたらどうなのヨーオオ」
「それを見てたのカーア、それじゃここらで成仏するかナーアア、時間でいくらダーイ」
「千円だわヨーウ」
「高いゾオオ、負からぬカーアア」
 
 
■ 面白いので続く。
 
 
○「緑色の坂の道」vol.1572
95年3月