海の満月 2.
■ 何時だったか、古い友人が経営している眼鏡屋で薄い色の眼鏡をつくった。
そろそろシニアなんだけどさ。
相談もしたのだが、それだと見えにくいだろうということで、奴の言う通りのものにする。
おまえこの色似合うよ、シャツも薄い紫だしさ。
ま、そうなんだけどね。これ選んだの俺じゃないんだ。
■ フレームはPのつくそれである。
dのつくそれは、奴に言わせるとまだ早いという。
いかにもという気もするのだが、平面のデザイナの眼からみてやはり水準は高いようだ。
品が無くなるぎりぎりのところで踏みとどまっていて、分析をすると長くなるのだが、つまりは密度と軽さである。
微妙な色と。
■ 友達価格で安くしてもらったので、二日後。
デパートの地下で洋菓子を買い、背の高い眼鏡美人に届けた。
ボスがこない間にみなさんで食べてください。