The Girl Next Door.
■ 暫く自分の車に乗らなかった。
地下へ降りてゆくと、真っ白に埃をかぶっている。
最後が雨だったからだろう。
かつて伊丹十三さんは、赤いロータスのエラン辺りに薄く埃がかぶったものをシレッと転がしたいなどと書かれていた。
「ヨーロッパ退屈日記」である。
まだ監督になる遥か手前、ローレンス・オリビエが現役だった頃の話なのだが、ま、このエッセイ、小田実さんの「何でも見てやろう」と対で読まれるものだろうか。
■ 当時のエランというのは、今のロータスの位置付けからはちょっと想像できないところがある。
なんといっても昭和40年代。トライアンフTR-4やMG、日本ではS600とか800が出始めの頃だろうか。
第一回日本グランプリ。または浮谷や生沢という名前を知っている緑坂読者がどれくらいいるかは不明だが、ま、別に知らなくてもいいのです。
■ ここから車の話の流れるのは自制して、私はエンジンをかけた。
バッテリーというのはある日突然だから厄介なのだが、アイドリングを3分ばかり。
ウィンド・ウォッシャーを繰り返しかける。