草競馬流浪記。
 
 
 
■ 春霖もすっかりあがる。
 緑の彩度が高く、これが五月まで続くのだと思われた。
 緑坂の回数がいつのまにか4000になっていたが、特別の感慨はない。
 山口瞳さんの「草競馬流浪記」をぱらぱらと捲る。
 
 
 
■ 私個人はギャンブル一般というものをほとんどやらない。
 麻雀パイの読み方も実は詳しくは知らず、廻りから意外に思われることが度々あった。
 その理由は自分なりに分ったつもりになっているが、果たしていかがなものだろう。
 山口瞳さんはこう書いている。
 
「僕は、こう思う。飲む・打つ、買うというのは人間の本能である。これをおさえると結果はよくないし、第一、そんなことは不可能である。しかし、飲む・打つ・買うの三つを同時に行うと人間は破滅するとも思っている」(新潮文庫:22頁)
 
 
 
■ 至極当たり前のことを端的に書く。
 山口節の基本であるのだが、読者は山口さんの句点の使い方に注意していただきたい。これがひとつのリズムを生んでいる。