欠ける月 2.
■ この冷気というのは、自分の中にあるサモシサに似ている。
欲というのは誰にでもあるものだが、そして今どの辺りいるのかを時々は自らで確認しなければこの社会、色々と厄介でもあるのだが、匙加減も難しい。
■ 随分昔のことである。
引っ越して近隣に挨拶にいった。
私は銀座界隈で買った緑色のブルゾンを着ていた。とりあえずはブランド物である。
■ あら、ごくろうさま。
と、昼間でも化粧を見事にされた若奥様に言われ、はあ、そうではないのですがと答えた。
んん、この色は宅急便であるのだなと、世間を知ったつもりになる。