見知った女。
■ 先日縁ある方が亡くなって、その葬儀に参列した。
義理事というのは出すぎてはいけないというのが私の持論で、できれば裏方を務めていた方がよさそうな気もする。
実際はそうもいかないのであるが、年齢と立場に応じての振る舞いを求められたりして、浮世というのはそれなりである。
■ 北鎌倉の駅の辺りでひとを降ろす。
送らなくてもいいというのであるが、そうもゆかず、何時の間にかここまできてしまった。
北澤君、飲めずに残念だな。
はぁ、医者にとめられていまして。
それは藪だよ。
は。
■ その方を降ろした後、私は海の方角へと向う。
昔ある作家が、葬式の後は女のところへ寄るものだという一面の真理を書いていたが、その気分は分らないでもない。
確かこの界隈に、この角から30分で。
海沿いの自販機でお茶を買う。