五二 つぎの扉で
 
 
 
 
■ 階段は狭くなかった。私はバイクの上に立ったまま、腰を後ろに引きローギアで階段を降りた。半クラッチを多用する。何度か足をついた。
 廊下が続いている。走羽達が一番奥のドアの前に待っていた。
 走羽が磁器カードを壁のリーダーに滑らせる。ドアが開いた。
 中に入るともうひとつ扉がある。軽合金製のようだ。この奧がシェルターになっているのだろう。
「待ち伏せしている筈です」
 走羽は黒いナイロンザックから手榴弾のようなものを取り出した。髪の短い男に渡す。
「下がって」
 廊下まで下がった。走羽がグレネードランチャーにオレンジ色の弾を込め発射した。爆発とともに軽合金のドアに穴が開いた。装甲用の弾だ。
「目をつぶって耳をふさいでください」
 走羽が言う。髪の短い男がドアを開け、中に手榴弾を放り投げた。私は言われるまま目をつぶった。
 瞼の裏が白くなり、ふさいでいる耳に鋭い金属音が響いた。神経に障る。何秒続いただろうか、一連の銃声が二回聞こえた。
 部屋の中に入ると、入口の近くに黒っぽい背広を着た何人かがAKを持ったまま倒れていた。