■ 装甲車が加速した。二十ミリがバンの横腹を裂いた。紙屑のように鉄板が千切れている。引火しないのが不思議だ。
コンテナの横から、髪の短い男がM七二を発射する。
後部にフィンのついたロケットがゆっくり飛び出した。装甲車に向かってゆく。同時に、背負った筒の後ろから大量のガスが放出された。その一部は赤くも白くもみえる。床の埃が一斉に舞い上がった。
真壁を移動させたのはバックブラストを避けるためだったのだ。背後から放出されるガスの直撃を受ければ、真壁は焼けてしまうのだろう。車やヘリの中からバズーカを撃てる訳がない。
ロケットは装甲車の下部に命中した。
爆発が起こる。横転する。
倉庫の中の爆発は耳栓をしていないことを後悔させた。
上部ハッチが開かれ、男が飛び出てくる。
葉子がベレッタを両手で持ち、その背中に命中させた。片膝を立てた股が白い。
装甲車の背後にいた男達が逃げてゆく。
倉庫の角にあるドアを開けているのがみえる。
「よし、分散して地下へ潜る。あなたは真壁さんとここで待機してください」
走羽は葉子に指示した。
「バイクの運転はできますね」
走羽が私に尋ねる。
「バイクで階段を降りてきてください」
走羽と髪の短い男は、ダンボールから武器を各自のナイロンザックに入れている。ザックを肩にする。手下をひとり引き連れ、倉庫の角にあるドアの方角に歩いてゆく。
途中、倒れている男達のAKをベレッタで破壊し、その内の一人に撃ち込んでいる。