十三 十二月
■ ブラウスの胸元から白い谷間がみえている。
晃子が何かいいながらバスタオルで腹の上を押さえている。
このまま死ぬ訳はないとおもっていた。
寒気がする。顎の下が震える。
晃子が頬を叩いている。
なんて気丈な女なんだ。まるでオフクロみたいだ。
腹の中が熱い。
娘は泣くだろうか、奴と一緒に笑うのだろうか。
奴。そういえば中野のアパートに見舞いにきてくれたことがあった。チェックのスカートを履いて、女子大ってのは何処か野暮ったい。
その野暮ったさが良かったんだから、俺もプチブルだ。
あれは冬の始めだった。旨くゆかなかったけれど、奴が初めてだったせいだ。 多分初めてだったんだろう。次からは旨くいった。
俺をクンづけで呼びやがった。卒業するまでそうだった。
俺は何をしてたんだろう。今はなんだ。撃たれたのは始めてだ。
痛いのか寒いのかどっちかにして貰いたい。
眼をつぶっていることにする。
俺は三十女の柔らかい胸が好きなんだ。