そういった按配で。
 
 
 
■ 何故そういうことを思い出したかというと、メールが来たからである。
 そこに書いてあった。
 緑坂というのはコアなファンがいたらしく、あの雑誌にコラム書いていたのは北澤さんでしょっ、とか言われることが何度かあった。
 覚えがないのだが、ま、そういうことにしておく。
 
 
 
■ この「ま、」というのは吉行さんの影響である。
 句読点まで括弧に入れておく。
 通常は「まあ」などと書く場合が多い。微妙にニュアンスが異なる。
 吉行さんというと「砂の上の植物群」や「夕暮れまで」など、純文学が有名であるが、その真骨頂は随筆・エッセイ、あるいは対談の妙味などにある。
 それから、いわゆる風俗小説の一群だろうか。
 夢もチボーもない青春後期、ベランダで小さなトマトと桔梗に水をやりながら、繰り返し読んだもののひとつがそれであった。
 意味を理解するのは暫く経ってからで、今手元に「軽薄のすすめ」(角川文庫版)があるのだが、解説は山口瞳さんである。
 
 
 
■ この本の愁眉は「戦中少数派の発言」だろう。
 何度か書いたので、書き写す気にはなれない。
 皆が右を向いているとき、自分独りだけがそれを拒否する。
 それはイデオロギーとか思想の問題ではなく、生理的な拒絶なのである。