とんかつ喰いたい。
■ という題の随筆が、東海林さだおさんにあって、正確には「とンんンかンつン、くンいンたンいン」である。
ある日突然そうなるのであって、いてもたってもいられず、上野界隈に出陣してゆくのだが、ま、それは秋になってからのことにしておこう。
■ 大体、洗車をするととんかつ定食の「上」が食べられる。
考えてみれば鰻もいけるのであって、吸い物も付く。
洗車って高いなあ。
いやみなさま、東京というのはそういうところで、自宅の庭先でホースから水という訳にはゆかないのですね。
駐車場だって酷いしよぉ、と泣いても仕方ないのであるが、地方都市にゆくと案外に新車や外車に友人や後輩たちが乗っているというのは、そういう理由もあるのである。
人生をそこに注ぎ込める瞬間というのが数年続くのであった。
大体、配偶者を捜している間ではあるのだが。
■ 洗車もせず、シレっと乗っているのも格好いいものではあるのだが、以前、銀座裏に停めていて、埃だらけの車体に鯨の絵を描かれたことがあった。
それで妙齢を待っていたのだが、あら、これどうしたの、と笑われた。
たまには洗いなさいよね、と言われたが、だってとんかつ喰えるんだもん、と口の中でぶつぶつ言う。