すれすれ銀座。
 
 
 
 
■ 夕方は同伴で一杯で、あるいは独りだけでタクシーから降りてゆこうとする。
 女の特徴は、停まってから財布を捜すことであり、後ろにいると厄介である。
 仕方ないな、と思いながら、一分ばかりは待つことになる。
 ところがそこで、ドアを開けながら携帯を耳にあてている妙齢というかなんというかがいて、私は短くクラクションを鳴らした。
 睨まれてもいいんだもんね。