女の入り口恐山。
■ 仕事に疲れた女たちは北へ向かうのだという。
いつだったか郵便受けの中に霊場ツアーの広告が入っていて、暫く眺めて捨てた。
全国各地にある霊場というか、神のいる山やそうした箇所を訪れる旅行社のパンフである。
添乗員達は皆なにがしかの師範代であったりした。顔写真も出ている。
ある意味では、眼鏡をかけたネズミ男であろうかと思われた。
■ かつて「銀座ラプソディ」で樋口修吉さんが、大手商社に勤めながら博打癖が治らず、終いには百科事典の販売員になっていった自伝的経緯を書かれていた。
私は博打はやらないが、不思議に身につまされた。
本作は、昭和30年代後半から40年代半ばにかけての銀座・赤坂、あるいは六本木界隈の風情を驚くべき記憶と細部の描写で、あたかも散文詩のように留められている。
普段本は読み捨てることにしているのだが、この本だけは捨てきれず、「銀座百店」や「洋酒天国」のダイジェスト版と共に書棚の中に紛れている。
樋口さんは作家になられた。味のある随筆を、寡作であるが綴られている
ところで、今も癌の特効薬だというカタカナの薬というかなんというかを売っているひとたちもいた。