続、風の吹く町。
 
 
 
■ 今時分、横須賀のドブ板通りにゆく。
 黄色やピンクやその他のネオンが侘しく光るその一角に、ふらりと入るには結構な年季が必要だった。
 隣にミネソタのGIがいて、話しかけてくるのだが訛があってわかんねえよ。
 スカジャン、ナンバーワン。などと言ってごまかす。
 
 
 
■ 私は車なので、ホッピー、ストレートなどと頼む。
 アルコールが1%未満であるからだ。
 ある訳ないじゃない、ここをどこだと思ってんの、という白い眼に耐えて、どうなってもいいやと開き直る。
 ドユ・ノー・サーヤ?
 ふむふむ、などと葉巻を咥える。
 
 
 
■ 大藪春彦さんの小説にはドブ板通りが何度も出てきた。
 エンプラ阻止、などという時代の風物としてである。
 エンプラというのは、原子力空母エンタープライズで、ベトナム戦争まっさかりの頃であった。確か今は退役になっていたと記憶しているが定かではない。
 エンプラのデッキには、F4-Fファントムが係留されていて、マグダネルの戦闘機に幽霊の名を借りるシリーズは暫く続いた。