眠りながら飛ぶ鳥 2.
■ 18か9の頃である。
ローリング・ストーンズのライブのLPを乏しい金の中から買って、ヘッドホンで聞いていた。
ベルト・ドライブの大きなプレイヤーで、家を出た頃、それだけは背中にしょっていた覚えがある。馬鹿じゃないだろうか。
大体、中学とかの頃合にビートルズにかぶれる。
その後、不良に近づくにつれ、たるいストーンズのリズムが格好よくも思えていたりした。
■「ミックの意地が爆発する」
とか、LPの帯に書いてあったような記憶がある。
当時、ミックもいい歳で、半分は時代遅れだと言われていたかも知れない。
70年代が終わり、お洒落で知的な精神世界というものがトレンディになりかかっていた頃合である。「遊」なんて雑誌もあった。松岡さんも若かった。
それはともかく、キースの音は相変わらずで、旨いんだか下手なんだか。
カワサキのオートバイに乗っている奴なら分かるだろう、という按配の、工業地帯の男同士の煙草でもあった。川崎には「夜光」という地名がある。
■ ま、いいのであるが、「ミックの意地」」とかいう帯のコピーは今でもよく覚えている。これでは星野哲郎先生の演歌である。
なんでこんなことやってんだろう。
意地のタメだよ。
誰の意地なんだよ。
かかわった皆のもんだよ。
徒労だなあ。
徒労なんだよ。