灰色の瞳 4.
■ それはこーいちさんが不良だからですよ。
うるせ、不良でなかったらこんなことやってねえよ、とか言う。
■ せんだって、とある同世代のジャーナリストと酒を飲んだ。
「ジャーナリスト」という呼び方は「市民」と同じくらい嘘臭いものだが、立場もあるだろうから具体的には書かない。
いくつか、その筋の賞を貰ったりしている今が旬の人物である。
我々は煙草を分け合いながらカウンターで管を巻いていた。
昨今はゴールデン街などにはゆかない。
■ 彼が社からの呼び出しで戻った後、私はポークカツを挟んだサンドイッチを食べた。
食べたという上品なものではなく、喰ったというような按配である。
ピクルスが旨かった。
隣に10月だというのに原色のポロシャツを着た米国人がいて、私に話しかけてくる。
旦那さん、もうすこしゆっくり喋ってくださいよ。
と頼んだが、NYからきたのだというその出世したGIは、私にフィッシングの雑誌を見せて日米安保をしていた。