プラネット 4.
 
 
 
■ 私は97年の6月にこんな緑坂を書いている。
「プラネット」という題である。
 

 
 
■ 夜が近づいてくるような気がする。
 もういちど、深い闇のなかに入ってゆく予感がある。
 それは空っぽの空洞とも違う、焼跡や廃虚の街とも異なる、人間が人間としてばらばらに解体された新しい世界である。
 かつて、大人も子どもも、互いに隣に居ることすら気づかないまま地平に立ち尽くしている姿を想像したことがあった。
 地平の向こうには新しいビルが建ち、視界の隅の方からゆっくりと暗闇がひろがってゆく。
 
 
 
■ 曲がり角の水銀灯のあたりで低い声がする。
 それは長く続き、外は小雨になった。
 じゃあね、という声だけがはっきりしている。
 携帯電話をしまい部屋に戻ってゆく。