それよりすこし寒くなった。
 
 
 
■「夜の魚」二部 外灘(バンド)の再掲が終わった。
 なんにせよ、長い時間がかかった。
 今は最低の、昼間の厄介以外のことはしたくない気分でいる。
 暫くEタイプの画像を一番上にしておくが、それも時期がくれば移動させるつもりでいる。
 
 
 
■「夜の魚」に出てくる「葉子」には不思議なファンが多い。
 彼女はいい女だという。
 登場したときの葉子は、バス停の隣に落ちていて、主人公を厄介な事件に巻き込んでゆく。性格は「境界例」そのままで、極端から極端へ揺れ動き、性に対しても貪欲というかタブーがない。
「境界例」的な人格のあり方というのは、私はネット時代のひとつの底流にあるものだと考えているが、さておき。
 これは小説であるから何処かに救いを持たせるよう心がけた。
 一部、二部と読み進めると、葉子が次第に変容してゆく様がみてとれる。
 ラストで、上海の路地裏にある集合住宅で、化粧気もなく大きな口を開けて笑う姿に、葉子の成長というか次の段階を仮託している。
 物語のなかで、ひとは変わる訳である。
 
 
 
■ 古くからの読者が、「これは漱石の坊ちゃんそっくりの終わり方だ」とか言っていたことがあった。「坊ちゃん」のラストは、よくできたハードボイルド小説そのままだが、試しに今再読してみると、文章を追うに結構骨が折れる。それだけこちらの読む力なり集中する力が変化してきているのかも知れない。
 ここから、縦書きの媒体と、ネットのように横書きの媒体とでの文書作法に話が流れていってもいいが、野暮なのでやめておく。