鞄のなかみ 2.
 
 
 
■ 若造だった頃、元町の洋品屋に入るのが怖かった。
 ポロシャツ一枚が数万円、などということが俄かには信じられなかったからである。
 
 
 
■ 実際はそういうこともなく、ある種の文化に圧倒されていたのだと思う。
 港であるとか、舶来とか、ここにしかないのだといういくつものカラクリにである。
 当時、中華街の外れに車を駐めておくと、必ずアンテナかタイアをやられた。
 地元ナンバー以外は、ここに駐めるなという意思表示である。
 
 
 
■ それは確かにそうなので、仕方のないことだと諦めた。
 不良は警察を呼ばない。