春雷 3.
■ 薄く雨になった。
庭の先にあるテラスレストランでは、庇を伸ばし、机の上を拭いているひとがいる。
埃が黒く湿る。
■ 打ち合わせを済ませ、戻ってくるとかなりくたびれた。
ボブ・ジェームスの Ivory Coast をかけて、気分はアカル哀しい。
全くの別件で弁護士事務所に電話をする。資料をFAXし、説明のメールを書く。
あれこれたたかう。
■ 一般に、ルールとか信頼関係とかを構築・維持することが困難な世の中になっている。数字を出さなければならない中間層にそれが顕著であるかも知れない。
部下や現場にその責を負わせる。モノが言えない立場というのはあるもので、彼らは捨てきれぬ想いをどこで消化するのだろう。
ハードボイルドというのは、端的に言えば浪花節である。
大体ぼろぼろになったところから始まる訳だが、物事には一定の予感のようなものがあって、その場で腹を決めている訳では、多くの場合にはない。