一月の薄い恋。
■ 風邪をひいて涙目になる。
水のように鼻から零れ、かんでいたら血が滲んだ。
なかばうなされているような時、昔お世話になったからから達筆で礼状が届いた。
せんだって地方から、日本酒の詰め合わせを送ったのである。
仕事とは直接関係がないお立場になられているので、こちらもそうしたことがしやすかった。
■ 自分が今ここにいるのは、いくつかのきっかけがあったからである。
このあいだまで振り返る余裕がなく、あちこちに義理を欠いていた。思い出したとしても、その時に住所などをメモしていない。
今だって、追試でどうにか年を越したようなところがあって、正月は過労で寝込んだ。 いつものことなのだが。
■ 暗い庭を、夜警が歩いている。
懐中電灯の筋が上へ下へと動く。
向こうから見れば、この窓も小さな灯かりが点き、そうしているのだと思うのだろうが、既に慣れているかも知れない。
恋というのは異性にだけするものではないとおもう。