みんな歌いながら通り過ぎる。
 
 
 
■ 先達の書かれたものを読むと、かつてクリスマスなどというものはキャバレーの呼び込みとしてしか機能していなかったようで、その日は店で三角の帽子を配る。
 緑色と赤の、紙の奴である。
 高度成長期、男たちはトリス・バーに通い、ケーキを持って家路に急いだ。
 
 
 
■ さておき、ここ数日の銀座界隈はほぼ芋洗い状態であった。
 四丁目の交差点を、津波のように人が渡る。
 泳ぎながら待ち合わせの場所にたどり着くのであるが、途中白髪のご婦人に道を尋ねられ、その交差点まで送っていたら時間に遅れた。