乾くのは、底が濡れているからだ。
 
 
 
■ 緑坂には、毎日数百人の人が訪れる。
 何も書かない日もそこそこ、書いた後の数日はじたじたと数を増やしているようだ。
 酔狂ですなあ、旦那。
 と言いたい気分も、薄く、ない訳でもない。
 
 
 
■ このコピーは、始めてアドバタイジング・ルックスを試みた一作目に使った。
 yominet で、98年頃だったろうか。
 写真を配置してその下にコピーを置く。
 下部の余白は、様々に広告に転用できるよう配置した。
 いわゆる、テンプレート。その後「kitazawa フォーマット」と一部では呼ばれた。
 すぐにその画像をお見せできないのが残念であるが、当時アクロバットの3.0が出たばかりで、それをベースにDTPの可能性を試みたのである。

 元々私は文章の世界の人間で、コピーはそれまで飽きるほど書いていた。
 テキストの緑坂というのは、昼間の厄介で書けないもの、あるいはその引き出しというべきものだったろうか。引き出しの重要性については諸先輩も語っているが、いずれまた書く。
 yominet を委託されたとき、これからはインターネットだという。
 まだISDNもなく28のモデムで、当然定額制でもない。
 ブラウザはネットスケープの3.0が主流。IEはバグだらけだった。
 yominet は設計が「光る光る○○」の会社。当時で数億円したインフラだったが、つまりはよくできたCGIなのである。NN(ネットスケープ)だけに対応。
 おかげで、HTMLについては手書きで書くようになる。
 まだ、Webオーサリングソフトなどというものが製品化される前だったからだ。
 
 
 
■ 今、この緑坂のヘッダ右に置いてあるロゴは、インターネット版 yominet 発足に先立ち、緑坂だけのサイトを作るために作成したものである。
 確か95?6年頃だろうか。
 OSはWindows 3.1。そのぺジェ曲線が描けるソフトで作った。
 高輪の、昭和天皇の弟が住んでいた屋敷の近く、あれは夏の頃である。
 もういちど作り直したいとも思うが、そのフォントが今は見当たらないでいる。