街路樹。
■ 地下の駐車場に降りてゆくと、タイル一面に枯葉が散らばっていた。
片隅に溜まっていたりもする。
これでは掃除のひとたちは大変だな、と枯葉のいくつかを踏んだ。
■ 先に、少年の眼である、と書いたことについて。
例えば大岡昇平氏の「花影」という小説の中に、主人公の葉子の容貌が次第に衰えてゆく様が描かれている。
ふくらはぎの肉が落ちること。押した肌がすぐには元に戻らないこと。
例えば渡し場にしゃがんでいる女の姿に、今はそうではなくてもいずれそうなることを視てしまう訳で、これは少年でなければなしえない視線であるかも知れない。
青年になれば、オックスクラブのママ(「麻雀放浪記」)のように、ある種征服、もしくは通過の対象になってしまうからである。