夜は冷える。
 
 
 
■ 目の前に緑色のナンバーのクラウンがいた。
 ひとつ前の型である。私はやや苛々しながら、都心に急いでいる。
 いつものことではあるのだが、既に秋も奥に入っている。
 交差点で携帯を耳にあてたコート姿の女をみた。
 待ち合わせなのか、踊るように信号の前で躯を廻している。
 
 
 
■ こうやって冬を迎える。
 若かった頃の、ひりひりする思いはないけれども。
 別のものが胃袋の辺りにある。