廃墟論 2.
■ 村田珠光の言葉にこんなものがある。
月も雲間になきは いやに候。
珠光は茶人である。秋の月は綺麗なものだけれども、空になんの翳りもなく月だけが煌々と光っているのはすこし困る。時折雲に遮られているような頃合いのものが美しいと。
これは何処か不完全なところに美を感じる、という意識であるが、果たしてそれが何処からきているかについては別の機会に。
■ 昨日の野分の後、空には雲がない。
そこに半月が傾いているが、これがもし満月だったとすれば、どうもやり過ぎの感じがする。
これからでも、この後でも。
全て傾いているものが美しいのではないかと私は時々考えている。