南国土佐を後にして。
 
 
 
■ と、歌ったのはペギー・葉山さんだったが、鯨の腹からでるような歌声には希望があった。
 時は高度成長手前。
 集団就職で都会に出てくるひとたちが、上野であれどこであれ、方言を仲間内だけで話していた頃合いである。
 上野はノガミと呼ばれていた。
 今も徒町界隈を歩いていると、ここのタンメンは美味しかったのよと教えてくれたおばさんのことを思い出す。