ブルックリンで、真夜中には色があった。
■ 月が移動した。
私のいるところが変わったのか、窓からは見えにくくなっている。
仕方なく、一杯を嘗めることにする。
どこにでもある、バーボンの一種だ。
■ ピート・ハミルという作家は、ブルックリン出身である。
そのことが記されているのだから、いわゆるNYの下町育ちであるということが特色になっていたのだろう。
「ニューヨーク・スケッチブック」(高見浩訳:河出文庫)は、若い頃、東横線沿線の女のアパートで読んだ覚えがある。そこには風呂がなかった。
それから何度か本を売り、また買いなおしている。
■ ハミルの短編は、孤独と喪失がテーマであると言われている。
否応なく自分で責任をとらなければならない場所というのがもしあったとして、それを承知で相手と向き合えるかというと、相手が言葉を喋る以上、なかなか難しいところもある。
ぱらぱらと再読しては、まだ「マンハッタン・ブルース」(創元推理文庫)にとりかかれないでいた。