祇園にて 2.
 
 
 
■ 祇園には何度か撮影にいった。
 一度は借り物のスクータに乗っていた。
 京都の街中を撮るには、車よりも機動性がいいからである。
 カメラバックを背負い、三脚を立てながら交差点で待っていると、岡持ちを持ったおじさんに声をかけられる。隣に並んだカブからである。
「えらいお荷物でんな」
 へえ。
 
 
 
■ 二言三言、言葉を交わし、「おきばりやす」と言われて別れる。
 なんの商売と思われたんだろうな。サングラスをかけた仕事師。
 その後は小型車を借りたり、あるいは徒歩だったりした。
 私の場合、夜に撮影をすることが多いので、三脚は欠かせない。
 かといって、仕上がったものを眺めると、半分程度は手持ちで撮ってもいる。
 三脚を立てられない場合も多いからだろう。
 
 
 
■ 今、祇園は伝手を頼むと内部に入れる。
 厳密な、一見さんお断りではなくなっているとも聞く。
 かといって、芸子の写真を撮りたいともあまり思わず、今はそのままになっている。
 撮るのならば、しばらく京都に住まないとならない。
 戻ってきたときには、東京にいるところがなくなってたりもする。