地下鉄小町。
 
 
 
■ 席の向こうに腕を組んで眠る女がいた。
 足元に、黒塗りの下駄を履いている。
 ジーンズに黒いシャツ。
 二の腕はまだ細い。
 
 
 
■ 果たして何処で降りるのだろうとしていると、港区の坂の多い街で降りていった。
 新しく、高層マンションが建っている辺りだ。
 彼女は地下三階から、赤い鼻緒の下駄で地上に出てゆく。