残夢三昧。
 
 
 
■ という本が内田百kenさんにあるが、まだ全部は読んでいない。
 通読していると、こちらに戻ってこれなくなるからだが、それにしても旨い題名だとは思う。
 
 
 
■ 中に「土手」という小品があった。
 何時だったか千葉方面に走っていって荒川の土手沿いの道を走った。
 雨は降っていなかったが、なるほどここがある種の境目であるのかと感じた。
 土手は長く黒く、盛り上がって続いていた。
 深夜営業のファミレスに入る。
 そこで働いている女性は、おそらく地元の人である。
 
 
 
■ するすると十年が過ぎた。
 あのときからでも五年は経っている。
 今自分はどこにいるのかというと、おぼつかなく、かといって留まっているともいえない。
 ファミレスから出ると、低いところに夜の雲が見えた。風の向きまでは分からないでいる。