「緑色の坂の道」vol.3897

 
       減った踵で。
 
 
 
■ そうした場で思うことはあるが、緑坂には書かない。
 こちらが誰かを見ているのと等しく、こちらも見られているのだが、ある場面、そこには一抹の寂しさが漂う。

「緑色の坂の道」vol.3896

 
       Ps2.
 
 
 
■ 会合が続いてくたびれた。
 都心にあるホテルでうろうろする。
 久しぶりに取り出してみたら、シルバーのネクタイピンが曇っていた。
 タクシーが値上がりし、それから禁煙になっている。
 
 
 
■ 先日タイアを交換した。
 フロントが3ミリになっていたからである。
「消しゴムのように減る」という言い方があるが、確かにそうで、これが雨の首都高速などであったりするとやや怖い。リアが流れるのはいいのだが、フロントから持っていかれると終わりだからである。
 
 
 
■ いくつか候補はあったのだが、サイズが揃っていないことと違う銘柄にしたかったことでPs2を選んだ。4本まとめてである。
 製造年月日を大体揃えてもらう。
 100キロまでは慣らしなのでなんとも言えないが、少しダイレクトさに欠けるだろうか。今までのものが腰の硬いそれだったので、そう感じるのかもしれない。
 ここからどうなるのか。0.1単位で空気圧を調整しながら飼いならすことになるのだが、この手の車というのはほとんど盆栽の世界である。

「緑色の坂の道」vol.3895

 
       Stairway to Heaven 4.
 
 
 
■ この辺り、やや専門的な話になるので割愛するが、メディアによって文章や文体は変わる。
 つまりそれは速度なのだが、速ければいいというものでもない。
 それはデザインも同じことで、時間の推移に耐えられるかどうか。
 人を驚かせるようなそれは、じきに古くなるだろうと思っている。

「緑色の坂の道」vol.3894

 
       Stairway to Heaven 3.
 
 
 
■「夜の魚」一部に、ツェッペリンのこの曲が出てくる。
 
 
 
 日曜の夜なかば、葉子を送るため、第三京浜に乗った。
 雲は斑であり、風が吹いている。
 フロントフォークを伸ばしたハーレーが、芯のないマフラーで隣に並んだ。高圧縮の新しいエンジンだ。国産のゴーグルに旧ナチのヘルメットを被っている。
 昔、透明なチューブの中に麻薬をつめ、キャプテン・アメリカは南部へ向かった。撲殺された弁護士をニコルソンが演じた。
 架空の好況の後、暴力の気配が街に戻っている。
 終点のパーキングでジャガイモのようなものを食べ、缶コーヒーを飲んだ。
 葉子と運転を替わる。トンネルを幾つか越えた。道は比較的空いている。
「これ、ツェッペリンでしょ」
 ジミー・ペイジのギターは、まだ静かだ。
 
 
 
■ 今このサイトに載せているものは、後から編集を加えたもので、改行をかなり削っている。
 本来は一画面にせいぜいが5-10行。
 余白に意味があるのだが、これを活字に組むとなるとまた文法が異なってきていた。

「緑色の坂の道」vol.3893

 
       Stairway to Heaven 2.
 
 
 
■ その辺り、深夜は80で流れている。
 さぁっ、と銀杏の枯葉が舞い、そこに時々はプラタナスが混じる。
 東京の12月というのは、何処まで乾くかを競っている。
 薄めるに、強い酒が欲しくなるのだ。

「緑色の坂の道」vol.3892

 
       Stairway to Heaven.
 
 
 
■ 男でも女でも。
 薔薇だけでは生きていけないところがある。
 
 
 
■ 昔、女が暮らしていた辺りに「薔薇100本3000円」とゴシックで描かれた看板の店があった。
 通るたびに思い出す。

「緑色の坂の道」vol.3891

 
       手に一本の薔薇を持って 2.
 
 
 
■ そんな緑坂を随分と前に書いた。
 薔薇にはいくつも種類があって、とても覚えきれるものではないが、冷めた紅茶を透かしたような色をしているものが好きだった。
 枯れたビロードにも似ている。
 それからどうするかというと、眠ればいいと思うのだ。

「緑色の坂の道」vol.3890

 
       手に一本の薔薇を持って。
 
 
 
■ 坂道を下ってゆく。
 だって、ロマンチックじゃない。
 ポケットに手を突っ込むと、中に忘れたコインがあった。

「緑色の坂の道」vol.3889

 
       薔薇式 3.
 
 
 
■ めんどくさいからここで寝ちゃおうか。
 と思うこともあって、そうなると事務所内浮浪者である。
 青いシートでテントを作る。
 コンロで料理したりして、そうなると火災報知器が鳴るのか。
 
 
 
■ 読売で緑坂を書いていた頃、浮浪者と書くのを憚られ「浮浪の人」とか表現していた覚えがある。
 そんなものは杞憂なのだが、お世話になった方々に迷惑をかけるのを僅かに恐れた。
 タブーという訳ではなく、場とか座敷の問題である。

「緑色の坂の道」vol.3888

 
       薔薇式 2.
 
 
 
■ 今嘗めているのは、普通のスコッチである。
 ブレンドされたそれで、安い時にまとめ買いをさせた。
 
 
 
■ やるべきことが大量に残っているというのに、こうしているのは現実逃避である。
 窓を開け、例えば暗い庭や遠く高層ビルの点滅する灯りを眺める。
 それにはリズムがあって、都会のメトロノームのようである。
 眺めていると見入り、そこに椅子を持ってきたりする。
 遊んで暮らしたいよなあ。