川沿いロスト。
 
 
 
■ Aは、最も古いものに何年か前、乗ったことがある。
 これで首都高を走ると、案外に骨格がしっかりしているのが分かって、足にするには捨てたもんじゃないなと思った記憶がある。
 車というのは、骨格なんじゃないか。
 あるいは無理のある設計をどうにかしてやろうという偏屈な意地である。
 骨格とはなんぞや、という話になると、その道の人間ではないので割愛。
 

 
■ サングラスであるが、古いものをレストア、オーバー・ホールして使っている。
 青山にあるブティックに持ち込んで、本体のメッキをかけなおし、弦というのか左右のパーツの在庫を捜してもらった。微妙に色が違うのだが、元受の職人さんがこっちの方がいいと確信を持って断言するものだから、その通りにした。
 担当の女性は上海語と日本語が上手い妙齢で、ニュアンスが上手く伝わらないこともあったのだけれども、そこも楽しむように心がけた。
 桜が咲く前である。
 今ぱらぱら雨がフッテイマスヨ、と彼女は私に言っていた。
 
 
 
■ 期間は一月ほど。レストア代も普通の新品が買えるくらいにはなったのだが、こういうところに癖が出る。
 花も終わり、青山墓地は人がまばらだろう。