「緑色の坂の道」 kitazawa-office

　
　　　　トレンチのベルト。
　
　
　
■　アトリエというかなんというか、つまり仕事場にあるモニターの調整で丸一日を費やした。
　彼女が笑う。
　

　
■　木枯らしの中、立っていたのはトレンチを着た女だった。
　女には珍しく、新しいそれではなく、何度も水を通して綿が僅かにやれている。左手の袖口は時計のリューズでささくれ立ち、普通は折り返すものだが、似たような色の糸で丁寧にかがってある。
　かといってフライパンの底を磨くとは限らない。