家へ帰らないか 4.
■ 麻布界隈、六本木の地下を降りていった辺りで酒を嘗めるとする。
遅い時間にいくと、帽子を被った妙齢がカウンター辺りに座って、一杯のグラスを前に中の男たちと話をしている。
いつか話すようになって、お近くなんですか。うん、歩いて帰る。
君はどこからきた。
ええ、今日は早番だったんですよ。
■ クリエイティブなお仕事ですよね。
彼女はそう言う。そうでもない、ただの黒子。
話していると黒服がちらちらと見ている。
■ 彼女は帽子を被っていた。
奥の安いソファでは、NPOでボランティアに行ったという彼が個展を開いた後の打ち上げである。
わたし、どこでもいいから。
彼女は小さな声で言う。