家へ帰らないか 2.
■ ギャンブルの世界では、たいてい、自分の持っているものに滅ぼされるという。
それが何のことかは知らない。
仮に、得意技だとする。
例えば俺はタネ銭をこれだけ持っているんだ、というような自信だろうか。
自信というのはその裏にひりひりする没落の予感を秘めているものだが、ヘミングウェイの短編集などを捲っていると、落ち目になった男たちが執拗に登場する。彼の自殺について突っ込んで考えたことはないのだが、踊りながら乾こうとしたハックルベリー・フィンの系譜であることは確かだった。