節電するコタツ。
 
 
 
■ その新車にはなんでも付いていた。
 ないのは小型原子炉くらいなものである。
 いつだったか地方の名士に人気があるという、王冠マークのそれに暫く乗っていたことがあったが、あれには人工的な秘書が内臓されていて、タイト・スカートで髪を上にあげた妙齢中程というか本格派らしき声がいちいち指示する。
 おつかれさまでした、そこを右です。とかだったろうか。
 声の間合いというかかすれ具合というか、そうした類のものがよく出来ていて、典型的なオヤジ心をくすぐるのである。
 俺にも秘書がついたゼ。俺より頭いいゼ。焼肉はまずタン塩から。
 
 
 
■ 5年経ち10年経つとその声も変わるのか。
 満ち欠けにもよるのか。
 あまり考えたくないお話である。
 女性向けにはどうするのだろうといぶかったが、声を切り替えるスイッチはなかったような気がする。
 
 
 
■ それはともかく。
 ほぼ新車の軽自動車の燃費は15.5くらいであった。
 額面のほぼ半分。ま、こんなものである。
 窓が素通しだからか、エアコンはあまり効かない。
 アイドリング・ストップとエンブレの時に充電するシステムがあって、鮮やかな緑色のLEDがメーターの中でちかちか点滅していた。