分かっていたはずじゃないか 3.
 
 
 
■ チャンドラーの面白いところは、偏屈な文明批評が含まれているところだった。
 白亜の豪邸のようなところに入って物怖じしない。
 また、本当の場末に近いところに潜り込んでタメ口をきいている。
 そこでの男たちのどうしようもなさというのは、溝口監督の描くそれとは違って通りいっぺんだけれども、最後のところで陰惨さがなかった。
 
 
 
■ 時代が良かったからだよ。
 モデル都市に住む友人が言う。
 彼はプロフに卒論までを書いている。