戦死とアメリカ。
■ 南北戦争の死者は62万人を超えたという。
南部男性の5人に1人が死んだ。
ゲティスバーグの戦いを記録した写真がNew Yorkで展示され、しかもそれは売買の対象になったと聞けば、なにも知らない私は眉をひそめる。
魂は肉体とともに蘇るとされるキリスト教の世界では、火葬ということは想像するだに恐ろしいことだった。
■ なにがあっても死体は回収する。
綺麗に化粧を施し国が定めた共同墓地に整然と埋葬するため、年間一億ドル以上の経費を費やしているのが現在のアメリカだと、ドルー・ギルピン・ファウスト、ハーバード大学第28代総長は書いている(訳:黒沢眞理子:彩流社刊:2010)。
そうした慣行が定着するのは朝鮮戦争以後のことだとされているが、その下地は19世紀、北部ヤンキーと南部連合との戦い「南北戦争」に思想的パラダイムの萌芽があった。
■ ここから、例えばベトナム戦争。アフガン戦争。
無名戦士の墓やそのほかの流れ。
翻って、我が国の西南戦争などに話が流れてもいいのだが、それはあまりに膨大で、宗教を含めた文化全体と鎮魂というテーマに近づいていく。